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2021/08/06

「微力だけど無力じゃない」コンゴの紛争鉱物の問題から考える、脱・紛争鉱物 /島彰宏さんインタビュー

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「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目的に活動する認定NPO法人テラ・ルネッサンス。海外では「地雷」「小型武器」「子ども兵」など紛争鉱物を起とする課題に現地で支援活動を行い、国内では「平和教育」を中心とした啓発活動に取り組んでいます。

今回はテラ・ルネッサンスで広報を担当する島彰宏(しま・あきひろ)さんにインタビューを実施。

タイガー魔法瓶が掲げるサスティナブル方針「4つの約束」のなかで「脱・紛争鉱物」に共感いただいた島さんに、コンゴ民主共和国での支援活動を中心にお話をうかがいました。

<プロフィール>
1989年、京都府生まれ、神戸大学大学院国際協力研究科修了。大学院でアフリカの紛争研究をするなか、ケニアにて平和教育に関する調査を実施。旅行会社でのWEBマーケティング職を経て、2017年10月にテラ・ルネッサンス入職。オンラインでの広報やファンドレイジングを担当すると同時に、2017年11月に開設された佐賀事務所のスタッフとして、九州での啓発活動を取りまとめる。現在は、京都事務局を拠点とし、啓発事業部オンラインマーケティング担当、佐賀事業マネージャーとして活動する。

紛争被害者の方々の
「自立支援」に取り組む

Q.まず初めにテラ・ルネッサンスの活動について、簡単におうかがいできますでしょうか。
現在行っているメインの活動の一つは、紛争被害者の方々の「自立支援」です。特に、地雷の問題は深刻で、そこで被害に遭った方たちの人生を崩壊させてしまいます。また、誘拐や、徴兵されて発生する「子ども兵」の問題も同様です。

運良く兵から解放されたとしても、何年も戦闘の中に身をおいていたことにより、手に職もなければ、学校教育も受けていない。おまけに自分の住んでいた村や町では加害者という目で見られることもあります。

そんな自分ひとりで生きていけない状況になった紛争被害者の方たちが、自分の力で幸せになれる状況をつくれるようする。具体的には職業訓練など、自力でお金を稼ぐ力をつけてもらうことで自立を支援しています。現在はカンボジア、コンゴ、ウガンダ、ブルンジ、ラオスの現地に事務所をおいて、直接的な支援活動を行ってきています。
(詳しい活動はこちら

コンゴ民主共和国と
紛争鉱物の関係とは?

Q.コンゴ民主共和国では、私たちの身近にあるパソコンや携帯に使用されているタンタルという紛争鉱物の問題が深刻化していると思います。そもそもコンゴ民主共和国と紛争鉱物はどのような関係にあるのでしょうか?
コンゴ民主共和国は、金、ダイヤモンド、タンタルといったレアメタルと呼ばれるものがたくさん採れる資源豊富な場所です。3年前に初めて現地を訪れたのですが、「ここで本当に紛争が起きているの?」と思ってしまうほど、ものに溢れ、人が行き交う活気のある場所で驚きました。

コンゴの紛争はよく「内戦」という言い方をされますが、実際は周辺の国や先進国が大きく絡むものがほとんどです。いわゆる国際的な紛争の場所になっているんですね。それらは特にコンゴ民主共和国の東側に集中していて、そこはレアメタルが豊富です。先進国を含めたあらゆる国が、このレアメタルの争奪に対して武力で制圧しようとしたり、またはその資源を奪おうとしたりしているのが現状です。ずっと長い間、紛争状態にあり累計で540万人ほどの方が亡くなられています。

「児童労働」と「子ども兵」と「性暴力」
紛争被害者が抱える問題

Q.これによってあらゆる紛争鉱物の問題が出てきているということですね。その問題について簡単に教えてください。
ひとつがレアメタルを採るために子どもが労働者として働かされてしまう「児童労働」の問題。もうひとつは、先ほど説明した紛争に子どもが徴兵されてしまう「子ども兵」の問題です。

子ども兵は、子どもが誘拐されて無理やり兵につかされることもありますし、自ら志願して就くこともあります。私たちの感覚では、自ら志願なんてしないだろうと思われるかもしれません。ですが、兵隊は人を殺さなければいけないけれど、ごはんが食べられる=生きていける。つまり、貧しさ故に参加せざるを得ない実情があるんです。

またもうひとつ、コンゴ民主共和国は女性の立場が圧倒的に弱い国なんですね。紛争の影響で、村が襲われて、性暴力が行われることがあるのですが、それは人の欲求で行われるのではなく、村を恐怖で支配するために行われています。

紛争被害者への自立支援
根本にあるのは貧困問題

Q.このような紛争被害者に対して具体的にどのような自立支援を行っているのでしょうか?
紛争下で性暴力を受けた女性たちには、洋裁の技術を身につけるための職業訓練を受けていただきます。開業を目標に手を動かすことで、女性たちは生きる力を取り戻していきます。

元子ども兵である方々も社会復帰できるよう、職業訓練に取り組んでいます。手に職をつけ、周囲から必要とされる状況をつくることで「加害者としてみられる」ことを減らし、周囲とのコミュニケーションの解決を目指しています。

誰かに必要とされることは自尊心を高めることになります。自分の仕事で誰かを笑顔にし、誰かの役に立てるという喜びが、彼らの傷ついた心を癒していくのです。

これらの問題には貧困問題も根付いています。家庭そのものが豊かになれば、自ら子ども兵になることを免れることができますし、性暴力を受けた女性たちも、紛争で傷つけられ、虐げられる存在ではなくなっていきます。こういった根底部分に目を向ける活動にも取り組んでいます。
Q.島さんは実際に現地に行かれて心境や行動の変化はありましたでしょうか?
12〜13歳くらいの元子ども兵の男の子が「みんなが豊かになればいい、それで戦争がなくなる」って言っていたんですね。貧しさや貧富の差がいかに紛争に影響を与えているのかについて、子どもたちが本質的に理解していることが心に残りました。

そして、現地の人たちが苦しんでいる状況は、私たちの生活も関係していることを意識するようになりました。

テラ・ルネッサンスとしては、啓発活動として現状を伝える活動にも力を入れていますが、その課題感がさらに強まりましたね。とはいえ、私たちだけでは何もできません。他の団体や企業、国を巻き込んで意識を変えていくことで彼らの状況を少しでも解決したいという思いが強まりました。

個人がまず取り組めるのは
その消費行動を考えること

Q.こういった問題に対して個人で取り組めることはあるのでしょうか?また島さんが個人的に取り組まれていることがあれば教えてください。
例えば、携帯電話やパソコンの原材料には、紛争鉱物であるタンタルが使われていますが、「その消費行動を考える」ということ。私自身、原材料に紛争鉱物が含まれる商品はなるべく使わないように意識しています。

このあたりはタイガー魔法瓶さんが掲げるサスティナブル方針「4つの約束」にある「脱・紛争鉱物」に対するお考えと共通する部分だと思います。消費者としても、資源調達のところから情報を提示している企業の商品を選ぶことはとても意義のあることだと思います。

「微力だけど無力じゃない」
日常にその微力が潜んでいる

Q.島さんはタイガー魔法瓶が掲げるサスティナブル方針「4つの約束」にどのような印象をもたれましたか?
この「4つの約束」のお取り組み自体が、とても日常生活に寄り添ったもので、そこに共感しました。

テラ・ルネッサンスが大切にしている「微力だけど無力じゃない」という言葉があります。一人ひとりにできることはとても小さいけれど、小さな力も集まれば大きな力になるという考え方です。その小さな力がどこにあるか?といったら、何気ない日常に潜んでいる。

タイガーボトルを使うことで日常生活にある“微力の部分”を引き出し、行動として表に出していけば、この社会は変わっていくのではないかと考えています。
Q.ありがとうございます。最後に今後の展望をおうかがいできますでしょうか?
テラ・ルネッサンスに入職し、紛争鉱物の問題に取り組むにあたり個人的に感じたことは、「関係のない人はいない」ということです。

もし目の前に「自分には関係ない」と思っている人がいたら、「関係ない」を「関係ある」に変えてもらうこと。関心の矛先を変え、自分ごとにできる人が増えていけば、世界から戦争をなくすことができるのではないでしょうか。

テラ・ルネッサンスでの活動も、私自身の想いも同じで「世界から戦争をなくすこと」。これは未来においても変わらないと思っています。

写真提供:テラ・ルネッサンス

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