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2021/02/16

【特別対談】ひとしずくから世界を変えていく「mymizu」と語る、環境と 未来のお話。

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日本中の給水スポットを無料で探せるアプリ「mymizu(マイミズ)」をご存知でしょうか。
スマートフォンを使っている方は、ぜひ一度、検索してダウンロードしてみてください。
日ごろからマイボトルを使い、喉をうるおす習慣のある方にとっては、こんな便利なものがあるのかときっと驚くことでしょう。

私たちの行動を、環境に責任を持つものに変えること。
ひとしずくの水が描かれたアイコンは、mymizuのミッションそのものです。

環境にやさしいボトルをつくり続けるタイガー魔法瓶と、給水から一人ひとりの行動を変えていくプラットフォーム、mymizu。これからの未来について、mymizuを運営する一般社団法人Social Innovation Japan の代表理事であるマクティア マリコさんと語りました。

タイガー魔法瓶(以下、T)
まずはじめに「mymizu」について詳しく教えていただけますでしょうか?

マクティア マリコさん(以下、M)
mymizuは使い捨てプラスチックの消費を減らすことをはじめとした、人々の消費行動を持続不可能から環境に責任を持つものに変えることをミッションとしているプラットフォームです。
具体的には、mymizuアプリを通して、日本中に給水できる場所を「mymizuスポット」としてマッピングしています。
アプリを通して、ユーザーが自ら給水スポットの情報を投稿したり、お店側はmymizuのミッションに共感いただいた方々が自発的にmymizuの給水パートナーとしてご登録いただき、マイボトルをお持ちの方には無料でお水をご提供いただいています。世界中に20万箇所、日本国内だと約800店舗以上に参加いただいています。公園や役所などの公的な場所や、意外なところでは車の販売店や牧場などもあり、日本国内の給水スポットは8,000箇所以上にのぼります。

T 社会課題に気がついたきっかけや、気づかれた課題に対してどのような想いを抱いていらっしゃるのか。改めて、教えていただけますでしょうか。

M もう2年以上前になりますが、沖縄を旅したときにプラスチックごみが散らかっている光景を目にしました。特にペットボトルが多かったのが印象的で、海外のものもあれば、日本語が書かれているものもありました。日本は美味しい水に恵まれた国なのに、なぜこんなにたくさんのペットボトルが流れてしまっているんだろうと、とても不思議に思ったんです。「利便」を優先して、環境を犠牲にしてしまう使い捨てが普通になり、文化のようになってきたと思うのですが、お水は生活のなかでどんな方にも必要なものであって、このような身近なところからその「使い捨て文化」を変えたり、無駄をなくしていけたらいいんじゃないかと思い立ち、mymizuを始めました。

T わたしもダウンロードして使っています。mymizuスポットがたくさんマッピングされている場所もあれば、少ない場所もありますね。

M 地域ごとに違いますね。ユーザーのなかには、mymizuの活動を応援したい方や、日ごろから給水する場所が欲しいと思っている方がいて、お散歩するたびに情報を登録したり、自らお店に提案するなど、個人のミッションのように感じて活動してくださっています。そういった積極的な行動が増えていくと、身近な場所で、mymizuスポットが少しずつ増えていくのだろうと想像しています。

T ローンチされて、世の中の反応はいかがでしたでしょうか。

M 2019年9月のローンチ後「待ってました!」というような応援メッセージや「こういう機能があれば嬉しいです。」などアイデアをくださる方もいて、反響が想像以上に多く、とてもうれしかったです。

T 日本市場の潜在的なニーズの掘り起こしができた、ということですね。

M はい。日本にはもともと水筒を持つ文化がありますよね。それを「サスティナビリティ」という言葉で説明してしまうと、初めて耳にする方、馴染みのない方にとっては海外の活動と考えてしまいがちなんです。「もったいない」という言葉にあるように日本はものを大切にしてきた文化です。なので、昔からあった価値観を思いだすきっかけを作ったような感覚でいます。

T タイガー魔法瓶の環境に対する活動としては、ようやくスタート地点に立てたという意識なので、教えていただきたいことがたくさんあります。

M mymizuとして大切にしているのは、マイボトルの提供だけでなく、使っていただく土俵も構築するということです。外出先で給水できる場所がなかったり、どこでも簡単にペットボトル飲料を手に入れられることで、マイボトルは使われなくなってしまう。mymizuでシステムごと変えることで、ライフスタイルの選択肢のひとつとして、生活に根付かせることができるのではないかと期待しています。

T ユーザーだけでなく、mymizuの活動を取り入れている企業もあるそうですね。

M ありがたいことに、企業や大学、自治体などから活動に参加したいとお声がけいただくことが増えてきました。2020年10月には、株式会社LIXILと社内チャレンジを行いました。2,700人の従業員の方が部署ごとにチームを作り、ひと月マイボトルを使い、mymizuアプリに給水の回数を記録し、どれだけのペットボトルを削減することができるのかを競い合うチャレンジに取り組んでいただきました。結果、34,000本のペットボトルを削減することができました。

T 参加された方から、どのような感想がありましたか?

M コロナの状況下でしたので、出社せずリモートでの取り組みだったのですが、そんななかでもチームワークを高めて、楽しく取り組んでいただけたようです。会社としてSDGsに取り組むなか、個人でもできることがあるのだと知るよい機会であったという声や、マイボトルを持つことが普通の光景になり会社の文化として変わりつつあるのを感じたなど、うれしい声をいただきました。

T いま、マイボトルを持っている方は比較的多いと思うのですが、それが環境のためになっているという意識を持っている方はまだまだ少ないように思います。会社として環境問題に取り組んでいるというマインドセットに切り替わると、次にその会社に入ってくる方にとってもモチベーションが上がる気がしますね。

M そうですね。企業だけでなく、高校、大学など教育の現場でもマイボトルを持てる環境をつくることが大切ですよね。大人たちの「持ってきてもいいよ」というひと言だけでも、環境は変わるのかなと思います。
たとえば、ある飲食店で、マイボトルを持っていくと割引してもらえるサービスがあるのですが、そのお店のボトルを使わないとサービスが受けられないのでは、という声も時々聞きます。実際はマイボトルならどんなものでも大丈夫なんですけれど、許可をもらっていないと使ってはいけないと勘違いしてしまう。お店側も歓迎しているメッセージをはっきり伝えることが大切ですね。

T ボトルを作るだけでなく、それを届けるための手立てもしっかりととのえる。企業としてどのようにメッセージを打ち出すかがとても重要なんだと思いました。

M タイガー魔法瓶は、いいものを、永く使ってもらいたいという気持ちでものづくりをされていますよね。日本には優れた技術や機能性の高い、長持ちするものをつくる文化があることが素晴らしいと思います。マイボトルが世界中でブームになっているなか、安価なものをつくり、使い捨てにちかい状態になってしまうと本来の目的が変わってきてしまう。その点で、タイガー魔法瓶のものづくりへの姿勢はとても大切だと思います。

T ありがとうございます。お客さまに対して、いいものを作って販売するだけの一方通行なやりとりではなく、コミュニケーションがいかに大切かということをひしひしと感じます。こういった考えを持つ仲間が増えていくことが、次のステップだと思います。さいごに、一つだけうかがわせてください。マリコさんが今後、こんな世界を作りたいという想いがあればぜひ教えてください。

M やはり一人ひとりが、自らの行動の大切さを意識することによって、真の持続可能な社会を作りたいと思っています。マイボトルを持つことがはじめの一歩であり、小さな行動を積み重ねていくと、社会に還元されていく。そうして、次の世代も、次の次の世代も、みんなが豊かな生活ができる。それが最終ゴールです。あくまでツールの一つではありますが、mymizuがきっかけとなり、多くの人たちに一人ひとりの行動の大切さを感じていただければ、ゆくゆくは社会の構造自体をよい方向に変えているんじゃないかと思っています。

T ありがとうございました。

お話をうかがった方:マクティア マリコさん

ロンドン大学卒業後、中日新聞社ロンドン支局に務め、2014年に駐日英国大使館の国際通商部に勤務。
2017年よりフリーランスとして社会的企業でプロボノやコンサルティングの仕事を受け始める。同年一般社団法人Social Innovation Japan を立ち上げ、現在その代表理事・共同創立者として運営やサスティナビリティ関連プロジェクトを総括する。
その一環として、ペットボトルの削減をミッションにした、日本初無料給水アプリ「mymizu」を立ち上げ、「国際連合開発計画(UNDP)企画の「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2019」を受賞。世界経済フォーラム 「Global Future Council on Japan」カウンシルメンバー(テーマ:サーキュラーエコノミー)。
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